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長岐俊彦・アトピー教室

サンタマリアクリニック-2

弱いこころと免疫力を鍛える
クナイプ式水療法

子供たちは、毎日一回、海水パンツ一つになり、クナイプ式の水療法を行います。
クナイプ式水療法は、水温(冷水・温水)による刺激や、水流、水圧などを利用して
体のさまざまな生理反応を引き出す治療法です。この治療法には、血液の循環を高める、精神力を強化する、免疫力や自己治癒力を高める、などの作用があり、アトピー体質の改善に役立つといいます。
このクリニックで子供たちが行う水療法は、温冷の交互浴と、冷水の歩行浴です。

●温冷・交互浴(足浴・腕浴)
始めは、足(膝下部分)を39~40℃の温水に約2~3分間入れます。
次に、同じ足を15℃位の冷水に約30秒間入れます。
これを3~5回繰り返し、最後は、必ず冷水で終えます。終了後は、水滴を払う程度にします。
腕浴も同様に行います。
この温冷の交互浴は自律神経の調整にも役立つといいます。

●冷水・歩行足浴
膝下までの冷水の中を、水鳥のサギのように、足をいったん水から完全に引き上げ、再び、つま先から足を冷水に入れる…をくり返しながら歩きます。歩行時間は5分位で、水槽を3周します。終了後は、足はタオルなどで拭かずに、水滴を払う程度にして靴下をはきます。

●冷水・腕浴
肘上から腕を冷水につけます。約1~2分間(水温によって自分で調整)。歩行足浴と同様に、終了後は水滴を払う程度にします。

冷水の刺激には、皮膚の感知反応をきっかけにして、神経系の反応、ホルモン系の反応、免疫系の反応、精神面の反応など、生体のさまざまな生理反応(特に体の防御反応や修復反応)を引き出す作用があります。

◆冷水(刺激)に対する生体反応
・皮膚の反応(感覚器官)を動かす
・神経系の反応を動かす
・内分泌系(ホルモン)の反応を動かす
・免疫系の反応を動かす
・精神面の反応を動かす

瞬間的に受ける冷水の刺激は、身が縮むほどとても強烈なものです。その刺激を体の異常事態として脳が認識して、生体防御システムのスイッチを入れます。その結果、刺激を受けた部位の血液の循環が活発になり、続いて体温が上昇を始め、その部位が温まってくると、最初の不快感がやがて心地良い感覚に変わっていきます。
このように、不快感から快感へと移行していく体の複合反応は、自己治癒力を引き出
し、また体の修復活動を促すといいます。

◆クナイプ式水療法の生理作用
・血液の循環を高める
・自律神経を調整する
・免疫力を高める
・自己治癒力を高める
・カラダの自己調整能力(ホメオスターシス)を高める
・刺激に対する抵抗力をつくることで、精神力を強化する
・ストレスに対する抵抗力を強める
・心身のバランスを安定させる

冷水の歩行足浴は、実際のところ、ぞっとするほど冷たい水の中を歩くわけですが、養護師さんが見守る中で、先に歩く年長者を真似しながらサギ足歩きに挑戦している小さな子供たちの姿は、とてもほほえましいものです。

問題は乾燥肌とストレス

アトピー性皮膚炎の患者さんの多くは、肌質が「乾燥肌」という特徴があります。
乾燥肌は皮膚の角質がササクレ立っていて、そのササクレによって、カユミを感じる神経が成長して敏感になっています。その状態に精神的なストレスが重なると、「皮膚の免疫システムが混乱」して、過剰反応を起こすようになります。そして、角質のササクレから異物が入り込んだり、あるいは精神的に興奮したり、皮膚の体温が上がったりすると、かゆみの神経がさらに敏感になり、カユミが起きます。そのカユミを我慢できずにかきむしるので、「皮膚炎」を悪化させていきます。

アトピー性皮膚炎は、「皮膚」の部分を考えただけでも「乾燥肌の体質」「皮膚の免疫の混乱」「皮膚の炎症」、という三つの大きな問題を抱えています。そのため、アトピー性皮膚炎の改善には、この三つに対する対策が必要になります。

◆アトピー肌が抱える問題
・乾燥肌の体質
・皮膚の免疫の混乱
・皮膚の炎症

皮膚の機能を再生させる
光線(紫外線)療法

「皮膚の炎症」と「免疫の混乱」を改善する治療法の一つに、光線(紫外線)療法があります。
ドイツのアトピークリニックで一般的に使用されている光線療法の装置には、2種類があります。一つは、太陽光線と同じように可視光線(目に見える光)と紫外線A波、紫外線B波(少量)、赤外線(少量)を含んだ光線を照射するタイプと、もう一つは、紫外線のみを照射するタイプです。太陽光線と同じ光線のものはフルスペクトルライト、紫外線だけを照射するタイプは(紫外線は目に見えないので)ブラックライトといいます。
 紫外線には殺菌力があるので、炎症に寄生している細菌の繁殖を防いでくれます。また、紫外線のエネルギーは皮膚の内部まで浸透して細胞を刺激し、皮膚の血行を促進して、皮膚の組織を肥厚させる働きをします。その結果として、皮膚の役目であるさまざまな機能が徐々に再生されて、免疫システムの異状が改善され、皮膚の発汗力や保湿力などが向上していくと考えられています。
太陽光線と同じフルスペクトルライトには、紫外線の作用の他に、可視光線の作用によって気持ちを明るくする、ホルモンの分泌を活発にする、自律神経の調整をする、などの作用があります。また、赤外線の温熱作用によって肌の発汗力を高める効果もあります。
光線の照射には、患部が小さい場合は小型の照射器を、患部が全身に及ぶ場合には全身用の照射装置を使用します。
 
*小さな子供の場合は、肌の感受性が強すぎるので、紫外線療法は行いません。
*紫外線過敏症の方にも、紫外線療法は行いません。

◆紫外線の生理作用
 ・炎症に寄生する細菌の繁殖を防ぐ
 ・皮膚の組織を肥厚させる
・その結果として、皮膚の機能が再生される
・皮膚の免疫システムの異状が改善される
 ・発汗力や皮脂の分泌力が高まる
・体内でビタミンDを生成させる
・その結果として、カルシウムの吸収が促進される 

◆可視光線の生理作用
 ・気持ちを明るく、前向きにする
 ・各種ホルモンの分泌を高める
 ・自律神経のリズムを調整する

◆赤外線の生理作用
・温熱作用で皮膚の血行を良くする
・皮膚の組織を柔らかくする
・皮脂の分泌能力を高める

真夏の海水浴を想定した
トメサ療法

死海の塩を入れた、濃度の高い塩水のお風呂に入りながら、紫外線を含んだ人工光線を浴びる「トメサ(TOMESA)療法」という治療法もあります。
塩水には皮膚の角質を柔らかくして水分の吸収を高める作用や、紫外線の感受性を高める作用があります。そのため、より効率的に紫外線のエネルギーを吸収することができます。
夏に海水浴を続けているとアトピー性皮膚炎が改善するケースが多くありますが、「トメサ療法」はその原理を応用したものです。
治療装置は、浴槽の頭上に紫外線を含んだ人工光線の照射装置があります。患者さんは塩水のバスタブに入り、コンピュータの音声に従って体を動かしながら、患部に光線を浴びます。  
光線の照射時間は、患者さんの症状によってセットされます。

ただし、炎症のひどい患者さんの場合は、傷口に塩水がしみるので、塩水風呂は使用せずに、皮膚の紫外線の感受性を高める薬品を患部に塗ったり、その薬品を入れたお風呂に入浴させてから光線を照射します。

*この治療法は、紫外線アレルギーの強い患者さんや、幼児には使用しません。

乾燥肌の改善に
サウナや赤外線の温熱療法

乾燥肌の改善に、サウナ浴や赤外線の照射治療も利用されます。
乾燥肌の皮膚は、血液の循環が悪く、発汗能力や皮脂の分泌能力が低下しています。そこで、サウナの温熱作用を利用して、皮膚の血液の循環を良くし、汗を出すことによって汗腺や皮脂腺を発達させていきます。発汗能力はすぐには出来上がりませんが、何回も繰り返している間に、その能力が徐々に形成されていきます。
サウナ浴の入浴法には手順があります。まずは、サウナに入り少し発汗するまで体を温めます。その後、冷水の浴槽に30秒ほど入り、その後、寝椅子で15~20分ほどリラクゼーションします。これを2~3セットくり返します。
また、サウナでの大量発汗は、皮膚を疲労させることになるので、わずかに発汗する程度で止める必用があります。

赤外線には温熱作用があり、皮膚の細胞を温め、血行を高めることで、皮膚の組織の生まれ変わりを促進します。
また、サウナや赤外線照射には、免疫力を強化する作用があります。

つねに皮膚を保湿して乾燥を防ぐ

ところで、アトピー性皮膚炎におけるカユミの原因の一つは乾燥肌です。乾燥肌は本人の体質なので、根本的に改善するのは難しいといえます。しかし、乾燥肌に対するスキンケアの方法を覚えて、しっとりとした肌にし続ければ、カユミを防ぐことができます。カユミが出なければ、掻かずに済み、皮膚を傷つけることがないので、炎症もおきません。
アトピー性皮膚炎の改善に、絶対に欠かせないのが皮膚の乾燥を防ぐことです。そのためには、アトピーの症状の無いときでも、保湿クリームを塗り、乾燥肌を保湿し続ける必用があります。患者さんは肌の状態の良いときには手入れをおこたりがちですが、肌の保湿を休まずに、肌の良い状態を長続きさせると、カユミも出なくて、アトピーの肌質が改善されていくといいます。
ちなみにドイツでは、保湿クリームはピーナッツ油などの植物性のものにペパーミントなどのハーブの成分を加えたもので、原則的には化学成分やステロイドを含まないものが用いられます。

*ステロイド剤を使用するのはあくまで応急処置で、その場合はインターバル療法という方法をとります。
*インターバル療法については、×××をごらんください。

喘息の発作を抑える治療メニュー 

喘息とアトピー性皮膚炎は、症状の出る場所が異なるので違う病気のように見えますが、ストレスに弱い性格、低い基礎体力、免疫の混乱など、その根本原因は同じと考えられています。
そのため、根本治療にはアトピー性皮膚炎の治療プログラムと同じように、精神療法、食事療法、運動療法、気候・環境療法、規律療法、クナイプ式水療法などの自然療法が処方されます。

また、喘息そのものの治療には、ハーブの吸引療法(症状に応じてハーブを使い分ける)、塩水の水蒸気(マイナスイオン)の吸引療法、呼吸法の訓練などが行われます。

◆こころと体を改善する基礎的な治療法
・食事療法
・運動療法
・気候・環境療法
・精神療法
・規律療法
・クナイプ式水療法
・グループ生活療法

◆呼吸器に対する治療法
・吸引療法(インハレーション)
・呼吸法

気道の緊張を消すインハレーション(吸引療法)

喘息の発作は、気管支がストレスなどの緊張によって過敏反応を起こし、気道が萎縮して起きます。そのため、気道がストレスに対して過敏にならないための治療が行われます。
気道の緊張を防ぐ治療法にインハレーション(吸引療法)があります。
サンタマリア・クリニックでは、このインハレーションに、個別に調合したハーブを利用しています。
一般的なインハレーションでは、塩分を含んだ単純泉を温め、その水蒸気に含まれるマイナスイオンを口と鼻から呼吸器の奥深くまで吸引します。これには、気道のストレスを緩和する、粘膜の免疫を調整する、気管支の炎症を抑える、精神的ストレスを緩和する、血圧を安定させるなどの作用があります。
そこで、喘息や、その他の呼吸器系疾患のほかに、アトピー性皮膚炎のストレスの緩和や、花粉症、高血圧、糖尿病、膠原病などの多くのストレス性疾患の治療にも利用されます。
インハレーションに塩水を使用する理由は、塩水が気化するときに大量のマイナスイオンを発生させるからです。マイナスイオンには、ストレスの沈静作用や、血圧の安定作用、喘息や鼻炎を抑える作用があります。また、細かい水蒸気は、鼻腔や気管支、気道などの呼吸器全般の粘膜をうるおし、緊張をほぐしてくれます。
吸引方法は、口から吸う方法と鼻から吸う方法があります。ハーブを加えた水蒸気を吸引する場合もあります。

インハレーションの方法には、専用の吸引装置から吸引するものや、鍋にハーブと水を入れ、コンロで加熱して発生する水蒸気を吸う方法、1人用の小部屋に水蒸気を充満させてその中で呼吸する方法などがあります。

◆インハレーションの生理作用
・気道のストレスを緩和する
・結果として、喘息の発作を防ぐ
・気管支の炎症を抑える
・粘膜の免疫を調整する
・結果として、花粉症などの鼻炎を改善する
・間質性肺炎など、呼吸器系疾患の進行を抑える
・精神的ストレスを緩和する
・血圧を安定させる
・さまざまなストレス性疾患の症状を緩和させる

発作がおきたときの対処法や
発作を防ぐ呼吸法を覚える

 喘息の子供たちには、喘息の発作がおきたときの対処法が指導されます。一つは、気管支拡張剤の吸引方法です。
また、ストレスや気道の緊張を解消する呼吸法や、リラクゼーションの方法です。

ストレスを解消する呼吸法の一例をご紹介しましょう。
 1970年代初めに、ハーバード大学医学校の心臓学者・ハーバード・ベンソン博士
によって考案されたもので、リラクゼーション法の中ではもっとも簡単で実践しやすい
ものです。

◆ストレスを消す呼吸法
(ベンソン博士のリラクゼーション法)

静かで心地よい環境の中で、一つの音(例えば「One:ワン」や「Om:オーム」)
などの言葉を、呼吸に合わせながら繰り返し唱えることで、超越瞑想(TM)の効果を得ることができます。

 日本人の場合は数字の1を数えるとよいでしょう。
・らくな姿勢でゆっくりと座ります。あるいは仰向けに寝ます。
・全身の力を抜き、目をつむり、呼吸に意識を集中させます。
・数の1(イチ)をくり返し数えながら、深く、静かに呼吸を続けます。
・「イー」で深く吐き、「チ」で吸います。
・こころの中で、静かに、必ず同じ数を数え続けるのがポイントです。

 それにも増して、高原の新鮮な空気を吸いながら、ストレスに負けないこころと体をつくっていけば、アトピー体質は改善され、喘息から開放されます。

抜群の治療効果の背景は?

何ヵ月かをクリニックで過ごした子供たちも、やがては元の生活に戻っていきます。アレルゲンの少ない快適な環境を離れて日常に戻った後も、症状の出ない状態をキープできるかどうかが治療の成否のものさしになるわけですが、このクリニックで自然療法と生活トレーニングを受けた子どもたちのうち、約7割は一度の滞在でアトピー体質を克服することに成功しているといいます。残りの3割の子どもたちも、2度目の滞在でほとんどがアトピー症状から抜け出すことに成功するそうです。
 
もしも、完全には克服できなかったとしても、治療前に比べて症状のコントロールができるように訓練ができているため、日常生活には困らないといいます。これは、アトピーについて正しい知識の学習や、アレルゲンへの親子の共通認識、カラダによい食生活の学習、ストレスのコントロール法といった、クリニックでの学習や体験が実を結んだ結果といえます。

ところで、このクリニックの費用ですが、治療費はもちろん、滞在費、学校の教育費、その上、付き添いの親の滞在費に至るまで、健康保険でカバーされます。仮にドイツの保険に入っていない日本人が滞在したとして、1日の全費用は約1万3000円程度です。

「アレルギー体質は治らない」と信じ込まされ、ステロイドの対症療法で身も心もぼろぼろになっている…。そんな日本の子供たちが、このような根本治療や、再発を防ぐ生活トレーニングを受けられる日が一日も早く訪れるように、そう願わずにはいられません。


SANTA MARIA KLINIK

Riedlesweg 9
87541 Oberjoch/Allgau Germaney

・0~18才までの子供専門クリニック
・21才までの教育プログラムが可能
・学校教育、及び生活トレーニングのための施設を併設
・患者用ベッド数:200
・付き添い用ベッド数:130

●治療専門領域
・アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎、小児喘息)
・呼吸器疾患
・心肺機能の強化

●院長
 Dr.Med Akos Gulyas

●スタッフ
・総合医、専門医:8名(4名が小児科・アレルギーの専門医)
・精神療法士:3名
・食事療法士:2名
・自然療法士:3名
・運動療法士:4名
・看護師:25名(夜間:8名)
・薬剤師兼検査技師:3名
・学校教師:12名
・養護士:50名
・その他事務スタッフ
・総スタッフ数:126名



by nagaki-toshihiko | 2010-07-30 12:14

ドイツの自然療法
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